インボイス制度の見直し
インボイス制度は2023年10月1日に導入されました。従来の免税事業者がインボイス制度により課税事業者になった場合の導入後の急激な負担増を緩和するための経過措置が設けられています。令和8年度税制改正大綱では、これら経過措置の見直し・延長が重要なポイントとして示されました。
1. 売り手側(元免税事業者がインボイス発行事業者となる場合の特例)
◆ (従来)「2割特例」
従来は、免税事業者がインボイス発行事業者へ登録し課税事業者となった場合に、売上に対する消費税納付額を通常より低く計算できる「2割特例」が適用されていました。これは導入後の激変を和らげる措置です。
◆ (新たな改正)「3割特例」の創設
令和8年度税制改正大綱では、この2割特例の適用期限が終了した後、個人事業主を対象に「3割特例」を新設することが盛り込まれました。
対象期間:令和8年10月1日〜令和10年9月30日(2年間)
内容:個人事業主について、売上に係る消費税納付額を売上税額の30%で計算できる。
対象:個人事業主のみ(法人等は対象外とされる点に注意)。
この措置は、小規模な個人事業者の税負担を段階的に引き上げながらも、急激な負担増を避けるための配慮措置とされています。
2.買い手側(課税仕入れの仕入税額控除に係る経過措置)
インボイス制度導入後、非発行事業者(免税事業者・インボイス未登録の事業者)からの課税仕入れについては原則仕入税額控除が認められませんが、導入後の一定期間は控除を認める経過措置が設けられています。
◆ 改正前のスケジュール
~令和8年9月30日:控除割合 80%
令和8年10月1日〜令和11年9月30日:50% (従来の予定)
◆ 改正大綱による見直し・延長
令和8年度税制改正大綱ではこの控除割合と期間が見直され、適用期限がさらに延長・段階的に緩和されることになりました。
| 期間 | 控除可能割合 | 内容 |
| 令和8年10月1日〜 令和10年9月30日 |
70% | 免税事業者等からの仕入れ控除 |
| 令和10年10月1日〜 令和12年9月30日 |
50% | 段階的縮減 |
| 令和12年10月1日〜 令和13年9月末 |
30% | 最終的な縮減へ |
| 令和13年10月以降 | 控除なし | 経過措置終了 |
この見直しでは、従来予定よりも控除割合が高い水準で長期にわたり経過措置が残る形となり、買い手事業者側の負担緩和が図られています。
3. 実務的な留意点
① 個人事業主は3割特例を活用するかどうか検討が必要
→ 特例の適用要件・期間を踏まえ、インボイス登録のタイミングや消費税申告戦略を検討する必要があります。
② 仕入税額控除の計算と帳簿整備が重要に
→ 経過措置の適用期間・控除割合を正確に把握し、帳簿やインボイス等の保存要件を満たすことが重要です。
③ 段階的縮減スケジュールを見据えた中長期計画が不可
→ 経過措置が段階的に縮減・終了するため、将来的な税負担の変化を見込んだ事業計画・価格設定が求められます。
