国税から金融機関への預金照会
税務調査のため、税務署・国税局が金融機関に預金照会することは古くから行われ、相続税申告の内容把握チェックや税務調査の反面調査(取引先・関与先への調査)に利用されてきました。金融機関もこの照会に対する回答に多くの人手・時間を取られ、困っていたことは事実です。NTTデータのホームページによれば、東京局・神奈川県内と仙台局・福島県内の税務署でNTTデジタルサービスを利用し、2020年10月から金融機関の協力を得て実証実験を行ったとのこと。
この結果、金融機関から4営業日以内に90%以上の回答が得られたという。オンライン照会の平均回答日数は平均2.5日と書面照会の11.3日を大幅に下回り、良い結果が得られたようだ。
電子データの内容は、口座の有無・残高・取引履歴・支店名等だ。
ところで、国税庁は金融機関と連携し、本年10月から預貯金等の照会、回答のデジタル化を全国展開し、2021年末迄に120の金融機関および300自治体への導入を目指すということだ。
従来、税務調査期間中の金融機関への反面調査は、調査官が納税者に反面調査照会の了解を得て行っていたところである。納税者は青色申告により正確な帳簿を作成しており、その取引内容は総勘定元帳を確認することによりチェック可能である。
調査官の中には、すぐ反面調査をしたがる者もあり、税理士としては、会社内部で確認する方法を提案し、早めに税務調査終了を目指しているところである。
今後、この預金照会が安易に行われることが無いよう、歯止めのチェックシステムが必要であると思われる。
他方、相続税申告については、マイナンバーシステムのため、国税当局に預金は把握されていることを自覚し、正確な預金資料を税理士に提示いただくようお願いしたいところです。
( 山田 毅美 )
2021年04月27日 12:39